SGクラスに所属する橋口眞奈さんが、2024年夏から1年間、インドネシア・西ジャワ州にある姉妹校、ボゴール農科大学附属コルニタ高校(SMA Kornita IPB)での留学を経験しました。帰国後、現地での生活や学校の様子、文化の違い、言語の壁、そして乗り越えた困難や得られた達成感について語ってくれました。これから海外留学を考えている皆さんにとって、リアルな体験談として大きなヒントになるはずです。以下、橋口さんの報告をご紹介します。
私は2024年7月からインドネシアにある姉妹校のボゴール農科大学附属コルニタ高校(SMA Kornita IPB)に留学をしていた橋口眞奈です。私は、インドネシアの伝統文化やまちの雰囲気に興味を持ち、留学に行くことを決めました。コルニタ高校は、ジャカルタから車で二時間ほどの西ジャワ州ボゴールというところにあります。インドネシアは暑い国というイメージがあるかもしれませんが、ボゴールは気温が30℃前後と比較的涼しく、過ごしやすい地域でした。

留学のきっかけ
私は元々、インドネシアの音楽や文化に興味がありました。筑坂では、インドネシア語Ⅰ、Ⅱを履修し、インドネシアフィールドワークにも参加していました。姉妹校とオンライン交流をしたり、東京のインドネシア人学校を訪問したりしました。初めは緊張していたのですが、明るく話しかけてもらい、すぐに打ち解けることができました。インドネシアの方々の親しみやすさと温かさに触れたことでインドネシアという国への関心がより深まりました。このような経験が留学を決意する大きなきっかけとなりました。
学校生活
インドネシアの学校では、高校二年生の理系クラスに入って学校生活を送りました。物理や数学といった日本でもなじみのある科目のほかに、宗教やスンダ語という地域の言語の授業もあり、インドネシアならではの教育を体験することができました。
物理や数学などの科目は日本で習った内容と重なる部分も多く、比較的理解しやすかったですが、歴史やスンダ語の授業では言語の壁もあって苦戦することが多かったです。友達や先生がいつも気にかけてくれ、周りの支えによって授業についていくことができました。
そして、日本語や物理の授業では私が教える立場になることもありました。教えてもらうだけではなく、私も友達の力になることができてうれしかったです。分からないことがあったとき、遠慮せずに聞ける関係性を築くことができて良かったです。
また、学校のイベントも思い出深いものでした。修学旅行では、バンドン、ソロ、ジョグジャカルタを3泊4日で訪れました。すべて、バス移動という大変さもありましたが、山に登ったりその地域でしか買えないものを買ったりして楽しむことができました。他にも独立記念日やカルティニの日など、日本にはないイベントもたくさんありました。特に、独立記念日は体育祭のような盛り上がりで驚きました。また、インドネシアの独立までのことを友達や先生に教えてもらいました。

友達
留学生活の中で、友達との時間も私にとって大切な時間でした。休みの日には、近所のカフェでおしゃべりしたり、ジャカルタの博物館へ出かけたりしました。博物館では、友達が展示物について丁寧に説明してくれ、インドネシア語で理解できない部分は英語でサポートしてくれました。また、留学後半になると、インドネシア語もある程度理解できるようになり、現地の映画やアニメも友達と一緒に楽しむことができ、話の幅も広がっていきました。

ホストファミリー
地理の先生の家族がホームステイを受け入れてくれました。ホストファミリーは暖かく迎えてくれ、毎日が楽しい思い出であふれていました。特に、ホストシスターとは趣味が同じだったので、一緒に映画を観に行ったりイベントに参加したりと、休日にはたくさんの思い出をつくることができました。ホストシスターはインドネシア語も親身に教えてくれて、私が分からない言葉や表現があると、例を挙げながら丁寧に説明してくれました。
ホストファミリーとの一番の思い出は、留学初期に訪れたバニュワンギという海辺の町への旅行です。海は日本で見たことがないほど美しく、自然の壮大さに感動しました。移動中やホテルなどさまざまな場面でホストファミリーとゆっくり話すことができ、いろいろな話をしたことで関係もより近くなりました。

自分自身の変化
今回、インドネシアに留学をしたことで私の中に大きな変化が生まれたと思います。特に、「自分の価値観に柔軟さが生まれた」と感じる出来事がたくさんありました。インドネシアは地域コミュニティがとても密接でした。近所の子どもたちと遊んだり、家の前でおばあさんと話したり挨拶したりと、世代を超えた交流が当たり前のように日常に存在していました。日本では、近所の人と話すことがあまりありませんが、インドネシアでは話しかけたり関わったりすることがとても自然で、そのような日々の関わりが私の中に新しい視点を与えてくれ、インドネシア語力も向上しました。
また、イスラム教の授業を通して宗教について考え、学ぶことができました。日本では、なかなか宗教を深く触れる機会なかったため、初めは戸惑いもありましたが、授業を通してイスラム教の教えや日常の中での進行のあり方について知ることができました。とても良い経験になりました。違う宗教でも他人を思いやること、年長者を敬うことなどの教えは同じだと気づくことができました。年代やバックグラウンド、宗教が違っても、お互いを受け入れて思いやることの大切さをインドネシアでの生活の中で深く感じました。そうした環境に身を置いたことで、自分自身の価値観も変化しました。

最後に
留学生活には、楽しいことだけではなく辛いこともありました。留学に来たばかりの頃は言葉が通じないもどかしさや、食生活の違いなど慣れるまでは時間がかかった時期もありました。そんな時、日本食を作ってくれたホストシスターやホストマザー、相談に乗ってくれたインドネシア留学の先輩方の存在がとても励みになりました。そして、後半には友達と二人でコモド島に旅行することができるようになりました。
留学は、自分自身を成長させ、視野を広げる特別な経験です。最初は、ホームシックになったり言葉の壁にぶつかったりしますが、それを乗り越えることで新たな学びや出会いがあります。少しでもインドネシアや留学に興味を持ったら、まずはインドネシア語の授業を受けてみたりフィールドワークに参加してみたりすることから始めてほしいです。インドネシアの姉妹校との関わりは筑坂でしかできないことです。少しでも興味を持ったら、一歩踏み出してみてほしいです。その一歩が大きな一歩に繋がるはずです。
